私は以前、ネパールのクリニックで医療ボランティアをしたことがあります。
そのクリニックでは、妊婦健診を主に実施していたため、毎月たくさんの妊婦がやってきました。
その際に一番よく聞くのは、「最近お腹が痛い。」「お腹が痛いのですがどうした良いですか?」ということでした。
それに対して、同僚である看護師たちは「体を冷やしているから痛いんだよ。体を温めなさい。」と一言、ビシッと強く言い放って終わりというかんじで、妊婦たちもそのアドバイスの真意を理解しているのかなぁと疑問を感じていました。
たしかに、これも一つの理由なのですが、もう少し医学的根拠を持って、適格な助言ができる医療職を目指してほしいという思いで、妊娠時の腹痛についての掲示物を作って、クリニックに掲示をしたことがあります。
ネパールのどの教育レベルの妊婦でも理解できるように、とても簡単な言葉を選んで内容を考えましたが、この情報はネパール人だけではなく、全ての妊婦さんに合うものなので、ご紹介します。
(ちなみにこの内容は、病院ホームページや医師の書き込みなど、医学的に信頼できる情報源を元に作成しています。)
<妊娠中にお腹が痛くなる理由>
・ホルモンバランスの変化
・物理的に子宮がどんどん大きくなるため
・靭帯など子宮支持組織が伸ばされるため
・子宮の収縮が起きることがあるため
<お腹が痛いときの対処法>
・無理せず休息をとる
・体をしっかり温める
・自己判断で鎮痛剤を飲まない。薬を内服するときは、かかりつけ医に必ず相談する。
<妊娠時の危険な症状はどういうものか>
・非常に強いお腹の痛みがある
・出血や発熱がある
・破水した
・お腹のハリがある
・手や足のむくみがある
<症状が改善しないときは>
・流産や早産の可能性がある
・子宮外妊娠の可能性がある
・未熟児出産の可能性がある
そのため、なるべく早く医療機関を受診してください。
※上記の危険な症状があるからと言って、必ず流産や早産、未熟児が生まれるということではありません。
ユニセフの世界子供白書2019では、
妊産婦死亡率(2017年10万対) 日本 5 ネパール 186
乳児死亡率 (2018年1千対) 日本 2 ネパール 27
と示されるように、日本では適切な時期に適切な医療を受ければ、健康はしっかり守られます。
妊婦さん本人のためにも、お腹の赤ちゃんのためにも、少しでも気になることがあれば医療機関を受診したり、電話で相談をしましょう。
この情報が少しでも、妊婦の皆さんに役に立つことがあれば、私も嬉しいです。
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