トルコのように肉料理中心の食文化や、揚げ物・バター・油脂の多い食事を続けていると、体重が増えていなくてもコレステロール値や中性脂肪値が高くなる人は少なくありません。
これは日本でも同じで、「やせているのに脂質異常症」と悩む人が増えています。
脂質異常症の改善には食事改善・運動・必要に応じた薬物療法がありますが、最初に取り組むべきは 日々の食生活の見直しです。
ここでは、特定保健指導経験がある保健師の視点から、
なぜ脂質異常症が良くないのか?
どんな食品を控え、何を摂ればいいのか?
を、わかりやすくまとめます。
この記事を読むことで、次の健康診断で数値改善を狙える具体的な行動がわかります。
1. 脂質異常症はなぜ危険なのか?
脂質異常症とは、
・LDL(悪玉)コレステロールが高い
・中性脂肪が高い
・HDL(善玉)コレステロールが低い
このいずれかの状態です。
1.1. 動脈硬化を進め、重大疾患につながる
脂質が高い状態が続くと、血管壁に脂肪が溜まり、動脈硬化が急速に進行します。
その結果、以下のような病気のリスクが急上昇します。
・心筋梗塞
・脳梗塞
・狭心症
・大動脈瘤
・末梢動脈疾患(足の血流障害)
特にLDLコレステロールは血管を傷つける主犯で、中性脂肪は血糖・肥満・肝臓への悪影響も引き起こします。
1.2. “痩せていても数値が悪い”は珍しくない
以下の人は体型に関係なく脂質異常が起こりやすいです。
・肉・揚げ物・バター・チーズをよく食べる
・アルコールをよく飲む
・運動量が少ない
・内臓脂肪がつきやすい体質
・遺伝的にコレステロールが高くなりやすい
特に遺伝性の「家族性高コレステロール血症」は、普通の努力では数値が下がりにくい点にも注意が必要です。
【実践的】脂質異常症の食事療法|摂取を控える食品・増やす食品リスト
脂質異常症の食事療法の原則はシンプルです。
① コレステロールを上げる食品を控える
② 良い油(不飽和脂肪酸)を増やす
③ 総カロリーを適正にする
④ 食物繊維をしっかり摂る
目的別に整理して解説します。
2. LDLコレステロールを下げたい人
① 食品自体からコレステロール摂取を控えることと、
②「悪い脂質」(飽和脂肪酸・トランス脂肪酸)は肝臓でコレステロール合成を促進するので、これらの摂取を控えることがポイントです。特にトランス脂肪酸は血管への悪影響が大きいです。
2.1. コレステロールが多い食品を控える
目標:1日200mg未満
・卵黄
・動物の内臓(レバー、モツ、ホルモン、ハツ、砂肝)
・いくら、筋子、たらこ、明太子などの魚卵
・ししゃも、小魚
・うなぎ
量を「ゼロ」にする必要はありません。
重要なのは 頻度を減らすこと。
2.2. 飽和脂肪酸が多い食品を控える
・豚バラ肉、牛バラ肉、鶏皮
・ソーセージ、ベーコン、サラミ、ハムなど加工肉
・バター、ラード
・生クリーム、アイスクリーム
・チーズ(特にハードタイプ)
2.3. トランス脂肪酸が多い食品を控える
・マーガリン
・ショートニング
・インスタント麺
・ドーナツ、菓子パン
・スナック菓子(ポテトチップス)
・古い揚げ油
2.4. 食物繊維の多い食品を摂る
食物繊維は、腸でコレステロールを吸着し排出を促します。
目標:1日350gの野菜+海藻やきのこなど
・野菜や根菜(キャベツ、ブロッコリー、ほうれん草、ゴボウ、モロヘイヤなど)
・海藻(わかめ、ひじき、昆布)
・こんにゃく
・雑穀、玄米
・オートミール
・きのこ類(しいたけ、えのき、まいたけ)
・大豆製品(豆腐、納豆、豆乳、油揚げ、おから、高野豆腐)
3. 中性脂肪を下げたい人
中性脂肪は「余ったエネルギー」が変換されたもの。カロリー過多が最大の原因です。食品の“量”に気をつけましょう。
中性脂肪は“糖+脂肪+アルコール”で急上昇し、夜に上がりやすいため、夜の炭水化物・アルコールは特に注意。
3.1. 主食を食べ過ぎない
・白米、パン、パスタ、ラーメンの大盛り
・砂糖入りのグラノーラ
3.2. 揚げ物を控える
・フライドチキン
・フライドポテト
・揚げパン
3.3. アルコールは飲みすぎない
アルコールは中性脂肪を急上昇させます。
・ビール
・日本酒
・ワイン
・ウイスキー
・焼酎
割り物が甘いとさらに良くない。どれも飲む量が増えるほど悪影響が強いです。
3.4. 糖質の多い飲み物は控える
・ジュース、コーラ
・缶コーヒー
・エナジードリンク
・砂糖が多いスポーツドリンク
3.5. 甘いお菓子を控える
・ケーキ
・ドーナツ
・クッキー
・チョコ
・アイスクリーム
・菓子パン
3.6. 果物を摂りすぎない
果物の果糖は中性脂肪に変わりやすいので食べ過ぎに注意。
3.7. n-3系多価不飽和脂肪酸(EPA・DHA)を多く含む食品を摂る
中性脂肪を下げる食品は積極的に摂りましょう。これが最強の“中性脂肪対策”です。
EPA・DHAを多く含む食品
・いわし
・さば
・さんま
・あじ
・ぶり
・まぐろ
・さけ
・にしん などの青魚
植物油(少量ずつ)
・えごま油
・アマニ油
・クルミ
・アーモンド
青魚は 週2~3回が理想。これらは血液をサラサラにし、動脈硬化予防にも優れています。
4. 食習慣全体で意識したいポイント
4.1. 調理方法を工夫する
油を使う量を減らすと改善が加速します。
・揚げる → 焼く・蒸す・煮る
・バター → オリーブオイル少量
・皮付き肉 → 皮を除く
4.2. 外食のときは“汁物を残す”
汁物には油と塩分が溶け込んでいます。
ラーメン・スープカレーなどは特に要注意。
4.3. 夜遅い食事を避ける
22時以降の食事は中性脂肪が上がりやすい。
5. 数値はどれくらいで改善するのか?
・食事+運動を並行すれば、早い人は1か月で変化が出ます。
・ただし油断するとすぐ戻ります(特に中性脂肪)。
・更年期やホルモン変化でも数値は上がりやすくなります。
・遺伝体質の場合は、薬物療法(スタチン等)と併用が必要なこともあります。
6. 無理しないためのコツ|継続が最重要
食事療法は「一時的な修行」ではなく一生付き合う生活習慣です。
・完全に我慢すると続かない
・たまにチートデイを作る
・外食続きの日は翌日で調整する
・“できる範囲で継続”が最大の成功ポイント
大病を避けるためにも、自分の体と相談しながら続けることが最も大切です。
これなら私もできるかも!ということを上手に探して、食習慣を整えていきましょう。



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